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更新日 2013-10-03 | 作成日 2007-09-20

受精卵移植の牛肉は、
安全・安価でおいしい!

受精卵移植は安全です!

健康な黒毛和牛が産まれます。健康な黒毛和牛が産まれます。

 架空牧場 <キャットハンズ>が設立当初から取り組んできた「受精卵移植」は、家畜の品種改良に長年使われてきた「人工授精」の技術をさらに進めた交配方法です。
 家畜の人工授精には250年程度の歴史があり、日本でも昭和40年代に人工授精が確立・普及してから、品種改良のスピードが急速に早まりました。人工授精は人為的に精液を生殖器に注入することによって妊娠を実現させる(卵子を受精させる)技術ですが、「受精卵移植」ではすでに授精を終えて成長可能になった卵を母体に送り込みます。
 受精卵移植はバイオテクノロジーの一種といえますが、農作物の遺伝子組み換えとは本質的に異なります。DNAなどの遺伝子情報に手を加えたり、クローンのように自然界ではあり得ない生物を作ることはできません。あくまでも自然の摂理に従い、その仕組みを効率的に利用しながら、より良い肉牛を数多く誕生させるための仕組みです。安全性も確認されていて、人間への不妊治療の基礎となっている技術でもあります。
 現在では畜産業界の主流となっている技術で、多くの家畜が「受精卵移植」によって誕生しています。

架空牧場 <キャットハンズ>での採卵風景架空牧場 <キャットハンズ>での採卵風景

架空牧場
<キャットハンズ>での受精卵移植の手順

1) 授精  受精卵を提供する牛(ドナー)を人工授精させます。

 使用する精子は冷凍されているもので、「商品」として市場に流通しています。この際に肉牛として欲しい要件(体格が大きくなるとか、脂が入りやすいなど)に合わせて、望みの傾向を持った血統を選びます。
 ドナーとなるのは架空牧場 <キャットハンズ>の放牧地でのびのびと暮らしている黒毛和牛のメスで、血統的・遺伝的に優秀な素質を持った和牛が厳選されています。
 このドナーを人工授精させて受精卵を作ります。ここまでは古くから行われている人工授精と同じです。ドナーの体内では、ドナーの卵子と注入された精子が自然に結び付き、両者の優秀な性質を受け継いだ「受精卵」がつくられます。

2)採卵  ドナーから受精卵を取り出します。

 通常の人工授精では、受精した卵はそのままドナーの体内で成長し、出産を迎えます。しかしこの方法では1回の人工授精で1頭(双子なら2頭)の子牛しか得られません。優秀な素質を持つ高価な「精子」を投資しても、この1頭で「原価」を回収しなければならず、肉牛の価格を上げる大きな要因となります。
 一方、本来メス牛は卵巣内に数万個という原始卵胞(将来卵になる細胞)を持っていますが、優秀な繁殖牛でも生涯に10頭前後の子牛しか産むことができません。持てる能力を十分に生かしきれてはいないのです。
 しかしドナーにあらかじめホルモン処理を行っておくと、一度の人工授精で多数の受精卵を作ることができます。このホルモン処理は安全性が確認されていて、人間の不妊治療の基礎的技術としても応用されています。
 排卵から7日目には複数の受精卵ができていますので、ドナーの子宮内にチューブを挿入して洗浄すると(母体を傷つけることはありません)、多くて10個以上、平均4〜5個の受精卵を安全に体外に取り出すことができます。
 この受精卵は人工授精でできた卵と全く同じで、ドナーと精子の自然な結合以外の人為的な要素は加わっていません。こうして体外に取り出された受精卵は1個1個選別され、-196℃の液体窒素でいったん凍結保存されます。

3) 移植 優秀な素質を持った受精卵が別のメス牛に移植されます。

 こうして取り出した受精卵は、採卵と逆の手順で別の牛の体内に移植されます。
 受精卵は育ての親(借り腹)となるメス牛の子宮にチューブで送り込まれると、そこで着床・受胎し、自然な成長を始めて出産に至ります。受精卵移植の技術を使えば、遺伝的素質が劣る母牛(借り腹)であっても、優秀な子牛を産むことが可能になります。
 また、借り腹となる牛は品種が違っても受精卵を成長させることができますので、乳牛であるホルスタインに移植すれば、肉質が優れて高価に取引される黒毛和牛を産ませることができます。さらに和牛はホルスタインに比べて体格が小振りですので出産もスムーズで、出産時に事故が起きる確率が低くなります。
 このように、数少ない優秀なドナーから多くの受精卵を取り出して借り腹で育てる「受精卵移植」により、血統が優れた子牛を「人工授精」よりも数多く育てることができ、結果として安全でおいしい牛肉をリーズナブルな価格でご提供できるようになります。